ミシガン大、青色リン光の寿命を改善.ディスプレイの「青色問題」解決の糸口を提示
2025年5月 – 米国ミシガン大学のStephen R. Forrest教授の研究チームが開発した新しい青色リン光OLED(PhOLED)は、従来に比べて10倍以上改善された寿命と高色純度の発光を同時に達成し、青色OLEDの難題を解決する糸口を提示した。 研究結果はNature Photonics最新号に掲載され、SID2025でも関連論文を発表した。
OLEDはスマートフォンや高級テレビに広く使用されているが、これまで青色発光は低効率の蛍光方式に依存しており、エネルギー消費が大きく、寿命が短かった。 これは、青色光はエネルギーレベルが最も高く、発光層の分解が早く起こるためである。 研究チームは、この問題を解決するために、多層構造と両面設計を導入したタンデム PEP (polariton-enhanced Purcell effect) OLEDを開発した。
従来の研究でForrest研究チームは、金属電極付近の表面で発生する プラズモン現象が、発光分子の励起子(exciton)がより速くエネルギーを放出するのを助けるという事実を明らかにした。 これをさらに強化するために、今回の研究では、表面プラズマと励起子が結合した「プラズマ-励起子-ポラリトン」を形成できるように、陰極と陽極の両方に有機半導体を堆積した。 これは、まるで交通渋滞を解消する高速車線を作るように、エキシトンが光に素早く変換される経路を提供する。
また、タンデム構造により二つの発光層それぞれの負荷を半分に減らして分解を防止し、光共振器(ファブリー-フェロキャビティ)構造により発光効率と色純度をさらに高めた。
研究の筆頭著者であるHaonan Zhao博士は、「Exitonが衝突して崩壊するのを放置する代わりに、Exitonが脱出できる高速道路を提供することで、20年前の問題に対する物理的設計ソリューションを提供し、既存の青色OLED技術が解決できなかった問題を物理的設計を通じて回避した」と説明した。 Forrest教授は、「商用化までにはまだ段階が残っているが、過去20年間解けなかった難題に実質的な答えを提示したという点が意義深い」と述べた。
今回の研究成果は、次世代のスマートフォン、テレビ、ウェアラブル機器など、様々なディスプレイ製品の性能を一段階引き上げるのに核心的な役割を果たすと期待される。 また、エネルギー効率が重要な照明分野でも革新的な変化をもたらす可能性を秘めている。 この研究は、米国エネルギー省(Department of Energy)とUniversal Display Corporationの支援を受けた。
Paper Information
– Title: Stable, deep blue tandem phosphorescent organic light-emitting diode enabled by the double-sided polariton-enhanced Purcell effect
– Authors: Haonan Zhao, Claire E. Arneson, Stephen R. Forrest
– Journal: Nature Photonics (2025)
– Journal: SID 2025 Digest148 (13-4)
Chang Ho NOH, Analyst at UBI Research (chnoh@ubiresearch.com)