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Visionox's latest creaseless foldable display module demonstrating an invisible crease at the ICDT 2026 exhibition.

折り目なし(Creaseless)折りたたみ技術の競争が激化

CES 2026でサムスンディスプレイがレーザードリル加工による折り目のないパネルを実演し、MWC 2026ではBOEが折り目のない技術を公開したのに続き、ICDT 2026ではVisionoxが折り目のないフォールダブルモジュールを発表するなど、パネルサプライヤー間の技術競争が激化している。

ICDT 2026で展示されたPETフィルムを高剛性素材に代替して折り目を改善したVisionoxのCreaselessフォルダブルモジュール

ICDT 2026でVisionoxが展示したCreaselessフォルダブルモジュール。内部支持材であるPETフィルムを高剛性の非可塑性材料に代替し、20万回の反復折りたたみ後も折り目の変化量が20μm未満に維持される。(出典:UBIリサーチ)

サムスンディスプレイは、折りたたみ時の曲げ応力が単一の折り目線に集中せず分散されるようにするため、パネル下部の金属支持板(メタルプレート)をエッチングしていた方式から、レーザードリリングで数十個の微細な穴を形成する方式へと変更した。CES2026でのGalaxy Z Fold 7のパネルと「Crease Test」の比較デモでは、肉眼では折り目(crease)が識別できないレベルであった。Galaxy Z Fold 8やAppleのフォールダブルiPhone用パネルにこの技術が採用されるものと見られる。

BOEはパネル内部の積層構造を単一のニュートラル層からマルチニュートラル層へと再設計し、グラデーションモジュラス方式を適用して応力を複数の層に分散・吸収させることで、従来のパネルに比べて折り目を40%以上減らした。外部部品の追加なしに設計のみを変えたため、製造コストが減る。この技術はすでにHonor Magic V6に適用され、量産検証を完了している。

Visionoxの「折り目なし」フォールダブルモジュールは、前述の2つのアプローチとは根本的に異なる道筋をたどっている。Samsung Displayが支持板の加工により、BOEが内部層構造の再設計によって応力を制御する方向を選んだのに対し、Visionoxは折り目の物理的な原因を素材の段階から直接遮断する。その核心は、フォールダブルモジュールの内部支持材として使用されていたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムの排除にある。PETは繰り返しの折り曲げ時に塑性変形が蓄積し、折り目を形成する根本的な原因である。Visionoxはこれを高剛性かつ非塑性(high-rigidity, non-plastic)の材料で完全に代替し、折りたたみ後も恒久的な変形が発生しない構造を実現した。さらに、高回復性OCA(光学透明接着剤)を適用することで、折りたたみを解除した後のモジュールの変形回復速度を従来比1.6倍に高め、局所的な応力の蓄積を抑制した。

また、Visionoxは「ガラス+超薄型保護フィルム+ナノ強化層」という多層複合カバー構造にグラデーション剛性サポートプレートを追加積層することで、折り曲げ領域と平坦領域間の表面段差を最小限に抑えた。実測基準で、折り曲げ領域と平坦領域間の表面段差を30μm以内に抑え、20万回の繰り返し折り曲げ後の折り目深さの変化量を20μm未満に抑えた。モジュール全体の厚さは0.4mm以下で、従来比20%薄型化しながらも、前面の耐衝撃性は1.3倍、背面の耐圧性は1.25倍に強化した。

要約すると、3社は「折り目なし」という目標に向けて、それぞれ異なる物理的アプローチを採用している。サムスンディスプレイは外側の支持板の加工、BOEはパネル内部の積層構造の再設計、Visionoxは素材そのものの代替という手法である。

2026年下半期にAppleがフォールダブルiPhoneを発売することで、フォールダブルパネルの需要が大幅に増加すると見込まれる中、3社がそれぞれの「折り目なし」戦略を通じてどのような顧客を確保するかが、サプライチェーン再編の鍵となる変数になるだろう。

Changho Noh, Senior Analyst at UBI Research (chnoh@ubiresearch.com)

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